2017年1月23日月曜日

【小説】浪花相場師伝 第十三話 GCファンド始動(前編)

第十三話 GCファンド始動(前編)

「医大生との合コンまだぁ」
「友達から急かされてるんだけど、なんて答えたらいい」
「合コンが先になるなら、先に2人きりで会いませんか」
淀屋の携帯に、女性たちからの催促メールが頻繁に届くようになった。

しゃあないな、そろそろ次の段階へ移るか。
マメに返信しながら、淀屋は思った。
先ずはお嬢様大学の近くでバイト、合コン先を作るのが最初の段階だった。
すでに淀屋が作った合コン先は、3桁に迫ろうとしていた。

淀屋は経済学部だったが、大学には医学部があった。
医学部は多額の学費が必要や、当然、親が金持ちのボンボンや。
しかも勉強ばかりで、今まで女の子と交際したことある奴は少ないはずや。
この淀屋が君たちの愛の救世主になって進ぜよう、淀屋はほくそ笑んだ。

淀屋は、医学部の女性とは縁のなさそうな学生たちに声をかけてまわった。
「なあ、今度、お嬢様大学との合コンがあるんやけど、参加せえへんか」、淀屋がいう。
「えっ、ほ、ホンマに」、誘われたメガネをかけた学生がいう。
「ホンマや、参加費が高いせいか、人数が足りなくて困ってんねん」、淀屋がいう。

「参加費っていくらなん」、メガネをかけた学生がいう。
「20万円や」、淀屋がいう。
「20万円、いくらお嬢様大学との合コンでも高すぎるわ」、メガネをかけた学生がいう。
「お嬢様大学との合コンやで、安い居酒屋でなんか、できへんやろ」、淀屋がいう。

「そやかて、20万円の会場ってどこやねん」、メガネをかけた学生がいう。
「場所は高級ホテルのスイートルーム、もちろん一晩、貸切や。
スイートルームで、朝までお嬢様たちと楽しい一時を過ごせるんやで。
1人当たりは10万円や、そやけど女性の分を足すので20万円や」、淀屋がいう。

「あかん、20万円は高すぎるわ」、メガネをかけた学生がいう。
「最後まで話を聞きいや、確かに女性の分を負担して不調に終わったとする。
もし1年後に誰とも交際できてへんかったら、女性の分は返金させてもらうわ。
どや、わるい話やないやろ」、淀屋がいう。

淀屋は合コン先のお嬢様大学の相手にも同じ条件を告げた。
「20万円で玉の輿に乗れるかもしれないチャンスだよ。
もし1年後に交際できていなかった場合、男性の分はそっくり返金させてもらうよ」
淀屋が送ったメールに、参加を断る返信はなかった。