2017年2月12日日曜日

【小説】浪花相場師伝 第十七話 理沙の選択(前編)

第十七話 理沙の選択(前編)

大学を卒業する時期が近づいていた。
芦屋のお嬢様である理沙は、退屈な日々を過ごしていた。
大学を卒業したら、内定している大手企業で働く。
そこそこの男を見つけたら結婚か、つまらない人生ね。

理沙が通う大学は、お嬢様大学だった。
下校時には、親の金で買った高級車で金持ちの男たちが迎えに来る。
嬉々として高級車に乗り込む同級生たちを見て理沙は思う。
こいつらみたいなバカにはなりたくないわ。

そんなある日のことだった。
正門を出た理沙の目の前に1人の男がいた。
「理沙様、そろそろご卒業でんな、投資された資金について話にきたんや」
スタジャンを羽織った淀屋は、そういうと笑みを浮かべた。

「私は合コンの対価として参加費を支払ったのよ。
合コンに参加したけど、私に見合う男はいなかった。
何が投資された資金よ、言っていることが意味不明なんですけど」
芦屋のお嬢様である理沙はいい放った。

「理沙様には、2つの選択肢をご用意いたしました。
1つは、この淀屋を理沙様の男にすること。
もう1つは、理沙様と淀屋が共同で会社を興すことです」
淀屋は不敵な笑みを浮かべ、理沙の返答を待った。

何なのこの男、意味不明だわ。
何が私の男になるよ、思い上がるのもいい加減にしてよね。
「最初の選択は、ある訳ないじゃない。
2つ目の共同で会社を興すって、どういうこと」、理沙が聞く。

「2人で投資コンサルタント会社を興すんや。
人の金を運用して手数料をいただくんや。
上手くいけばボロ儲け、下手したら倒産やけどな」
淀屋が再び、不敵な笑みを浮かべていう。

「投資コンサルタントの会社って何をする会社。
ちゃんとわかるように説明してよね」、理沙がいう。
「ほな、近くのファッションホテルで話そか」
「バ~カ、私を落としたいなら、それなりの場所を用意しなさい」、理沙がいう。